美容外科クリニックの確定申告で、注意が必要な点をまとめました。

売上経理

消費税

 美容外科については、他の内科や歯科医とは異なり自由診療報酬がメインとなります。
従って、消費税の納税が必要となります。
 簡易課税やインボイス制度などの必要性を検討しましょう。

広告宣伝

 モニタリング(宣伝)のために売上代金を値引きすることがあります。
これについては上記①の関係上、値引き後の売上のみ計上すると消費税額の計算が正しくならないため、総額表示が必要です。

集計方法

 集客システム(キレイパスコネクトなど)を利用している場合には、その売上データを抽出し検証します。
例えば、レジの練習のために処理した売上を除外したり、上記②がある場合には総額の売上になるように確認します。
 また、現金売上・クレジットカード売上・電子マネー売上ごとに区分し、事業用口座に入金される金額と差額があれば、確認するようにしましょう。

レジ金経理

 レジにはクレジットカードや電子マネー以外の売上が入金されます。この金額を適切に管理していないクリニックが多いように感じますが、レジ金が無いクリニックは存在しないと思いますし、防犯にもなりますのでExcelなどで入出金をしっかり管理しましょう。
 クラウド会計ソフトには、ソフトにそのまま取り込むことができるExcelフォーマットがあるため利用しましょう。

仕入経理

仕入れ

 仕入れに関しては美容外科の場合、海外からの仕入れが必要なときがあります。
国内企業からの仕入れとは消費税の取り扱いが異なるため注意しましょう。
 また、普段は薬剤などを仕入れている仕入れ先から、施術器具を購入した場合には、
その器具は固定資産に計上する必要があるため、間違って仕入れに計上しないように明細を確認しましょう。

期末在庫管理

 いわゆる棚卸です。この棚卸は売上原価の算定に不可欠です。
例えば、糸リフトを100本購入し年末に20本残っていた場合、その年で経費になるのは80本分の仕入金額です。
 この残っていた20本分は翌年の経費となるため、期末商品として資産計上する必要があります。
期末の棚卸を見込んで仕入れ先が増えすぎないようにコントロールし、在庫を抱えすぎないように管理を工夫しましょう。

販管費管理

減価償却

 減価償却というのは、高額な設備や器具を数年間にわたって経費化していく処理のことを言います。
クリニック開業時に購入した備品は、30万円を超えるものが多数あると思います。
何年で経費化していくかは、備品ごとに税務上で決まっているため、国税庁の耐用年数表を確認しましょう。
 賃貸物件に内装工事をした場合、減価償却資産の区分が非常に難しくなりますので、必ず専門家に確認を取りましょう。

個人事業税

 社会保険診療報酬に対応する所得については、個人事業税は非課税です。
しかし、美容外科の場合には自由診療のため個人事業税がかかります
 この個人事業税は支払った年で経費になるため忘れないように処理をしましょう。

~医療法人化を目指して~

 東京都の場合、年に2回法人設立の申請ができます。
直近の確定申告が赤字の場合や開業期間が短い場合には審査が厳しくなります。

 当事務所では医療法人化を目標とするお客様に対し、経理の簡素化提案や財務内容の改善指導、他士業との連携によるサポートを実施しています。
 美容外科クリニックを開業しようとしている方や、開業しているが現在の税理士に不安がある方は是非ご相談下さい。