森田太郎 医療業界に起こる大きな変革
医療業界、特に美容医療分野において重要な転換期を迎えています。
厚生労働省による新たな制度改正が検討されており、これまでの開業スタイルに大きな変化をもたらす可能性があります。
地域医療における人材不足や、美容医療分野での安全性向上を目指したこの取り組みについて詳しく解説します。
背景にある医師人材の動向変化
医療従事者の選択傾向
年間約9,000人の医師免許取得者のうち、美容医療分野を選択する医師が増加傾向にあります。
この流れが、従来の医療体制における人材配置に変化をもたらしています。
| 年 | 2008年 | 2011年 | 2014年 | 2017年 | 2020年 | 2023年 |
| 美容外科 | 983 | 1,068 | 1,128 | 1,233 | 1,404 | 2,016 |
| 増加比 | － | + 8％ | + 5％ | + 9％ | + 13％ | + 43％ |
令和５(2023)年医療施設（静態・動態）調査・病院報告の概況 参考
P36 統計表９ 診療科目別にみた診療所数の年次推移（重複計上）
地域医療への影響
高収入が期待できる美容医療への人材集中により、以下の分野で人材確保が課題となっています
- 地域の基幹病院
- 外科系診療科
- 産科・婦人科
- 救急医療分野
制度改正の具体的内容
新制度の仕組み
検討されている制度では、開業には5年の保険診療の従事経験を積まなければ、
開業後のクリニックで保険診療を提供できないという条件が設けられる予定です。
制度導入の狙い
- 医療人材の適正配置：各診療分野への人材バランス改善
- 医療安全の向上：十分な経験を積んだ医師による診療提供
- 保険制度の見直し：長期的な医療制度の安定化
実施スケジュール
新制度は2027年度からの導入が目標とされており、関連法規の改正手続きが進められる予定です。
美容医療市場の現状分析
診療形態の特徴
美容医療クリニックにおける現在の診療提供状況
- 自由診療中心の運営
- 外傷治療など限定的な保険診療対応
- 保険診療を扱わないクリニックも多数存在
安全性に関する課題
2023年度の相談実績
- 国民生活センターへの美容医療関連相談が約800件
- 経験不足による施術トラブルの懸念が指摘
制度変更による業界への波及効果
利用者のメリット
- 治療選択肢の充実：保険適用治療を提供するクリニック増加
- 医療安全性の向上：豊富な臨床経験を持つ医師による診療
- 経済負担の軽減：保険診療オプションの拡大
開業医への変化
- 開業準備の見直し：保険診療経験が開業要件に
※直美が問題視されているのは自由診療なので、
今回の改正がそのまま直美のクリニックの自由診療には適用されないと考えられる。 - 競争優位性の再定義：保険診療提供能力による差別化
- 業界信頼度の向上：全体的なサービス品質の底上げ
- 段階的なスキル習得：美容医療専門化前の基礎経験重視
- 総合的な医療技術向上：保険診療を通じた幅広い経験獲得
- 戦略的なキャリアプランニング：長期視点での専門性構築
美容医療クリニック開業をお考えの先生方へ
新制度施行前の今が、理想的なクリニック開業の絶好のタイミングです！
2027年からの制度変更により、美容医療クリニックの開業要件が厳格化される予定です。
現在開業準備を進められている先生方には、新制度適用前の開業をお勧めいたします。