令和8年度税制改正大綱のうち、個人・中小企業にとって重要な部分をざっくりと解説いたします!
ご自身に関係がある部分をご一読ください。
※税制改正大綱はまだ法案として決定したものではありません
所得税
年収の壁の引き上げ
【適用開始時期】
令和8年分以降
【改正のポイント】
・恒久制度:物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みの創設
これにより、基礎控除と給与所得控除の最低額については、それぞれ4万円ずつ増加
・中低所得者層の給与所得者については、基礎控除と給与所得控除額が増加することで所得税の減税となる
個人事業主自身にはほとんど影響は無し
【注意点】
・配偶者控除の合計所得金額要件は緩和(58万円以下⇒62万円以下)されたが、控除額は38万円から変更なし
・社会保険の壁、住民税の壁はこの改正によって大きく変わらない
住宅ローン控除の見直し
【適用開始時期】
令和12年12月31日まで5年延長
【改正のポイント】
・省エネ性能の高い中古住宅の優遇
借入限度額を引き上げ、控除期間を10年⇒13年に延長
・災害危険区域等内の新築住宅
令和10年1月1日以降は適用対象外
仮想通貨税制の見直し
【適用開始時期】
金融商品取引法の改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以降
【改正のポイント】
改正の内容
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 課税方式 | 雑所得として総合課税 (最大税率55.945%) | 暗号資産取引業者を通じた特定暗号資産の取引は分離課税(20.315%) |
| 損失の取扱い | 他の所得との損益通算:不可 繰越控除:不可 | 特定暗号資産の譲渡損失は 3年間繰越控除が可能 |
【注意点】
・暗号資産取引業者を通さない暗号資産の譲渡については、譲渡所得として総合課税の対象となる。
その場合には特別控除(50万円)を行わず、かつ、5年超の保有資産の計算上の特例(1/2)措置も適用しない。
さらに、譲渡所得の計算上生じた損失は、他の総合課税の所得と損益通算しない。
未成年者のNISAのつみたて投資枠の確保
【適用開始時期】
不明
【改正のポイント】
制度の比較
| 項目 | 成長投資枠 (18歳以上) | つみたて投資枠 (18歳以上) | 【新設】つみたて投資枠 (0~17歳) |
|---|---|---|---|
| 対象年齢 | 居住者等(18歳以上) | 居住者等(18歳以上) | 居住者等(0~17歳) |
| 年間投資上限額 | 240万円 | 120万円 | 60万円 |
| 生涯非課税保有限度額 | 1,800万円の内1,200万円 | 成長投資枠と合算し1,800万円 | 600万円 |
| 非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 | 17歳まで |
| 投資対象商品 | 上場株式・公募株式投資信託等 | 積立・分散投資に適した一定の公募株式投資信託等 | 積立・分散投資に適した一定の公募株式投資信託等 |
| 運用管理 | 制限なし | 制限なし | 一定の要件の下、12歳以降は払出しが可能 |
18歳到達時の移行イメージ
| 期間 | 制度 | 累積投資可能額 |
|---|---|---|
| 0~17歳(18年間) | つみたて投資枠(0~17歳向け) 年間60万円 | 最大1,080万円 (60万円×18年) |
| 18歳到達時 | 自動的に成人向け制度に移行 | - |
| 18歳以降 | つみたて投資枠:年間120万円 成長投資枠:年間240万円 | 生涯非課税保有限度額 未成年時に積み立てた金額と合わせて、1,800万円まで |
払い出し制限 ※要件外の払出しがあった場合、通常の課税(所得税15.315%、住民税5%)が行われる
| 年齢 | 払出し可否 |
|---|---|
| 12歳未満 | 原則:不可 例外:災害で居住家屋が全壊した等で税務署長の確認がある場合 |
| 12歳以上~18歳未満 | 以下の場合のみ可能: ・入学金、教育費、生活費の支払いのため ・子が払出しに同意したことを示す書類を提出 |
| 18歳以上 | 制限なし |
【注意点】
・実質的に親や祖父母等からの贈与により投資するケースが想定される
・年間110万円の贈与税非課税枠との関係に注意
・NISA用資金以外に贈与を受けている場合は贈与税申告漏れに留意
法人税
少額減価償却資産の特例(所得税も共通)
【適用開始時期】
令和8年4月1日から
【改正のポイント】
・対象となる減価償却資産の取得価額を40万円未満(現行:30万円未満)に引き上げる
・対象となる法人から従業員数が400人超の法人を除外する
・適用期限を3年延長する(令和11年3月31日まで)
【注意点】
上限の年間300万円という限度額については、変更なし
賃上げ税制(中堅企業と中小企業向けのみ解説)
中堅企業向け
【適用時期】
令和8年4月1日から令和9年3月31日までに開始する各事業年度について適用(その後は廃止)
【改正のポイント】
| 項目 | 改正前 | 改正後(R8.4.1~R9.3.31開始事業年度) |
|---|---|---|
| 適用要件 | 継続雇用者給与等支給額が前年比 103% | 継続雇用者給与等支給額が前年比 104% |
| 給与増加割合 | 3%以上:10% 4%以上:25% | 3%以上:適用無し 4%以上:10% 5%以上:15% 6%以上:25% |
| 教育訓練費上乗せ | 5%加算 | 廃止 |
| プラチナくるみん認定等上乗せ | 5%加算 | 変更なし |
| 最大控除率 | 35% | 30% |
中小企業向け
【適用時期】
令和9年3月31日までに開始する各事業年度について適用(継続見込み)
【改正のポイント】
| 項目 | 改正前 | 改正後(R8.4.1~R9.3.31開始事業年度) |
|---|---|---|
| 適用要件 | 継続雇用者給与等支給額が前年比101.5% | 変更なし |
| 給与増加割合 | 1.5%以上:15% 2.5%以上:30% | 変更なし |
| 教育訓練費上乗せ | 10%加算 | 廃止 |
| プラチナくるみん認定等上乗せ | 5%加算 | 変更なし |
| 最大控除率 | 45% | 35% |
| 控除限度超過額の繰り越し | 5年間の繰り越し可 | 変更なし |
消費税
インボイス発行事業者の経過措置見直し
【適用開始時期】
令和9年・令和10年の各課税期間
【改正のポイント】
・現行の2割特例は令和8年に終了
・令和9年からは納付税額を売上の消費税額の3割とできる経過措置を2年限定で実施(3割特例)
【注意点】
・3割特例は個人事業主のみが対象で、法人は適用できないので現行の2割特例が終わり次第、原則または簡易課税となる
・3割特例は基準期間の課税売上高が1,000万円超等により課税事業者となる期間は適用不可
・3割特例適用後、翌課税期間の申告期限までに簡易課税制度選択届出書を提出すれば、翌課税期間から簡易課税制度の適用が可能
免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置の見直し
【適用開始時期】
令和8年10月1日以後開始の課税期間から
【改正のポイント】
・経過措置の終了を2031(令和13)年9月30日まで2年延長
・控除可能割合を段階的に縮小
2026年10月~2028年9月:70%
2028年10月~2030年9月:50%
2030年10月~2031年9月:30%
【注意点】
・1つの免税事業者から課税仕入れの額の合計額が年間で1億円を超える場合には、その超える部分の課税仕入れについては、
本経過措置の適用を認めないため、控除ができない
資産税(相続税・贈与税)
貸付用不動産の評価方法の見直し
【適用開始時期】
令和9年1月1日以降の相続・贈与から
【改正のポイント】
・相続等の発生前5年以内に取得または新築した貸付用不動産は、
従来の路線価評価額ではなく、取得価額をベースとした「通常の取引価額」で評価される。
【注意点】
・課税上の弊害が無い限り、取得価額を基に時価の変動等を考慮して計算した価額の80%に相当する金額によって評価できる
・本改正を通達に定める日が未定ではあるが、その定める日までに、被相続人等が同日の5年前から所有している土地の上に
新築をした家屋(同日において建築中のものを含む)については適用しない
不動産小口化商品の評価方法の見直し
【適用開始時期】
令和9年1月1日以降の相続・贈与から
【改正のポイント】
・取得時期に関わらず、「通常の取引価額」 で評価される
【注意点】
・不動産小口化商品で相続税対策をしている場合には、改正後において節税効果が無くなる可能性がある
~お問合せ~
☆以下の方々は当事務所にお問い合わせください☆
・毎年の税制改正についていけない
・自社に影響がある改正が分からない
・これから相続対策をしたい
