令和5年度税制改正大綱の重要な改正部分をざっくりお知らせいたします!

ご自身に関係がある部分をご一読ください。※税制改正大綱はまだ法案として決定したものではありません

所得税

① NISAの抜本的拡充・恒久化について

【適用開始時期】
令和6年1月1日から

【改正のポイント】

  • 非課税保有期間を無期限化
  • 口座開設可能な期間を定めず、制度を恒久化
現行制度(~令和5.12.31)改正NISA(令和6.1.1~)
仕組み併用不可併用可能
一般つみたて成長投資枠つみたて
年間投資限度額120万円40万円240万円120万円
生涯投資額120万円/年40万円/年合わせて最大1,800万円
内、成長投資枠1,200万円
投資対象投資信託・株投資信託投資信託・株投資信託
非課税期間5年20年無期限
投資可能期間2023年まで無期限
令和6年以降現行で継続現行制度とは別枠で利用可能
売却後の投資枠復活しない生涯投資額は復活する

【関連の改正】

・ジュニアNISAは2023年で終了予定

②特定非常用災害の指定を受けた災害により生じた損失について

【適用開始時期】
令和5年1月1日から

【改正のポイント】

 災害によって、棚卸資産・事業用資産・住宅・家財などに損失が生じた場合などに、一定の要件を満たしたときに「純損失の繰り越し控除・雑損控除」の適用が受けられます。今回の改正で、特別非常災害に指定された場合には、繰越控除できる期間を現行の3年から5年に延長することとなりました。

資産課税

➀相続時精算課税制度の基礎控除の創設について

【適用開始時期】
令和6年1月1日から

【改正のポイント】

  • 相続時精算課税により行われた贈与について、毎年110万円の基礎控除が可能
  • 相続税の計算において加算される金額も、毎年の贈与財産の価額から基礎控除額を控除可能

【関連の改正】

  • 相続時精算課税制度による贈与財産が災害により被害を受けた場合について
     精算課税制度による贈与後に、贈与財産である土地や建物が災害によって一定の被害を受けた場合には、相続税の課税価格に加算される金額は、贈与財産の価額から災害を受けた部分の金額を控除した残額となります。

②生前贈与加算制度の見直しについて

【適用開始時期】
令和6年1月1日から

【改正のポイント】

  • 生前贈与加算の対象期間が、相続前7年間(改正前:相続前3年間)に延長
  • 令和9年以降の相続から随時延長がされ、令和13年に7年間となる
  • 延長した4年間分の贈与について合計100万円までは相続財産に加算しない措置を取る

相続時精算課税が使いやすくなるため、今後は暦年贈与を相続時精算課税により行うケースが増えてくる

③空き家に係る特別控除の改正について

【適用開始時期】
令和6年1月1日から

【改正のポイント】

  • 適用期限の4年間延長(令和9年12月31日まで)
  • 被相続人居住用家屋がその譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに、耐震基準に適合することとなった場合or全部が取り壊し、除却、滅失した場合には特別控除を受けることが出来るようになりました。
  • 被相続人居住用家屋及びその敷地を取得した相続人の数が3人以上の場合における特別控除額が2,000万円となりました。

消費税(インボイス制度)

➀小規模事業者に対する税額負担軽減措置について

【改正内容】
 令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間において、免税事業者がインボイス発行事業者となったこと又は課税事業者選択届出書を提出したことにより免税事業者とならなくなった場合には、消費税の納付税額を売上に係る消費税額の2割の金額とする事が可能となります。

※基準期間の課税売上高が1,000万円以下であるインボイス発行事業者が対象となります。

【ポイント】

  • 消費税の確定申告書に適用を受ける旨を付記するだけで適用が可能
  • 当該特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間中に簡易課税の選択届出書を提出すれば、提出をした課税期間から簡易課税の適用が可能です。

②中小企業者等に対する事務負担軽減措置について

【適用開始時期】
令和5年10月1日~令和11年9月30日まで

【改正内容】

支払対価が1万円未満の課税仕入については帳簿の保存のみで仕入税額控除を適用可能

【対象事業者】
下記のいずれかに該当する事業者

  • 基準期間における課税売上高が1億円以下
  • 特定期間(前年又は前期の開始月から6カ月)における課税売上高が5000万円以下

③少額な売上返還インボイスの取扱い見直しについて

【適用開始時期】
令和5年10月1日から

【ポイント】
 税込価格が1万円未満の売上返還については、返還インボイスの交付義務が免除

④登録申請手続きの柔軟化について

【改正内容】

  • 免税事業者が登録申請をする場合
     免税事業者が課税期間の初日からインボイス発行事業者として登録を受けようとする場合の提出期限について、その課税期間初日から起算して15日前までに緩和(現行は、課税期間の初日から起算して1月前)されます。
  • 経過措置により10月1日より後で登録を受けようとする場合
     10月1日より後の日付でインボイス発行事業者の登録を受けようとする場合の登録申請書について、登録を受けようとする日から起算して15日前までに提出していれば、希望日に登録ができるようになりました。

電子帳簿保存法

中小企業者に関連する部分をピックアップしました。

【適用開始時期】
令和6年1月1日から

➀スキャナ保存制度の見直しについて

国税関係書類について、下記の見直しがされることになりました。

  • 解像度等の情報の保存要件が廃止
  • 記録事項の入力者等情報の確認要件が廃止
  • 相互関連性を証明する書類が、契約書・領収書等の重要書類に限定

②電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度の見直しについて

電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について要件の緩和が行われました。

【ポイント】
 税務調査等の際にデータのダウンロードに応じることができる、下記のいずれかの事業者においては、検索要件の全てを不要とされます。

  • 判定期間における売上高が5000万円以下(現行1000万円以下)
  • 出力書面が整然かつ明瞭に整理されている

③出力書面での保存について猶予措置について

 税務署長が相当の理由があると認め、かつ、データのダウンロード・出力書面の提示の求めにも応じることが出来るようにしておけば、電子帳簿保存の要件が充足されることになります。

【ポイント】

 結局、電磁的記録を印刷した紙保管が可能となりました。ただし、相当の理由の具体例が不明なので、規模の大きい会社は気が抜けない状況です。
※令和4年度税制改正の2年間の宥恕規定は延長なし

まとめ

 税制改正大綱でインボイス制度の方向性が示されたからには、制度を廃止することはないと思われます。2024年3月から消費税の納税を行う経営者様は、早めに資金繰りの改善を行うことをお勧めします!

☆以下の方々は当事務所にお問い合わせください☆

  • インボイス制度にどう対処すべきかわからない
  • 消費税納税に対して、資金繰りに不安がある
  • 毎年の税制改正についていけないし、今の税理士が教えてくれない

今日のひとこと

~ 3度の飯より税制改正 ~