令和6年度税制改正大綱の重要な改正部分をざっくりお知らせいたします!
ご自身に関係がある部分をご一読ください。※税制改正大綱はまだ法案として決定したものではありません
所得税
①定額減税
【適用開始時期】
令和6年6月1日から
【改正のポイント】
・1人につき4万円減税(所得税から3万円、住民税から1万円)
・本人+同一生計配偶者(※)+扶養親族(※)が対象
・所得制限:合計所得金額1,805万円(会社員であれば給与収入2,000万円以下)
※合計所得金額が48万円以下であること
【現状の対応方針】
①給与所得者
・6/1から支払われる給与について、源泉所得税から毎月控除を行う
・控除しきれなかった金額は年末調整で対応する
②個人事業主
・第1期予定納税から本人分(所得税3万円分)を控除する
・第1期から控除しきれなかった分は第2期で控除する
・予定納税が無い個人事業主は、確定申告時(R7.3月)に所得税額から控除する
【注意点】
源泉所得税の徴収を行う従業員がいる場合には、非常に実務処理は煩雑になる。
年の中途で入社した従業員がいる場合には、すでに控除された源泉所得税の確認が必要。
②住宅ローン控除
【適用開始時期】
令和6年1月1日から同年12月31日までの間に居住した住宅借入金等
【改正のポイント】
・子育て特例対象(夫婦のいずれかが40歳未満の者又は19歳未満の扶養親族を有する者)である個人が、
・認定住宅等の新築等をして2024(令和6)年中に入居した場合、
・下記の区分に応じて控除対象借入限度額を上乗せする。
(ア)認定住宅 5,000万円
(イ)ZEH水準省エネ住宅 4,500万円
(ウ)省エネ基準適合住宅 4,000万円
③その他
R7年度税制改正で、扶養控除・生命保険料控除に一部改正が行われる見込み。
法人税
①交際費の範囲拡大
【適用開始時期】
令和6年4月1日から
【改正のポイント】
交際費等から除かれる飲食費等の範囲が拡大された。
・改正前:一人当たり 5,000円 以下の飲食費等
・改正後:一人当たり 10,000円 以下の飲食費等
【注意点】
・会計システム(補助科目の設定等)や経費精算ルールの見直しが必要。
・3月決算法人以外の法人は、飲食費等の基準が5,000円以下と10,000円以下の期間が混在することとなる。
②戦略分野国内生産促進税制の創設
【適用開始時期】
産業競争力強化法の改正を前提にスタート
【改正のポイント】
経済安全保障を鑑み、国内で安定的に生産することが望ましい物資について、国内生産を促すために、5つ戦略分野を指定して、新たな税額控除制度を導入する。
《対象法人》
・青色申告法人
・産業競争力強化法の事業適応計画の認定に係る認定事業適応事業者が
《設備の取得》
・産業競争力基盤強化商品(5つ戦略分野)を生産するための設備を取得する場合において
《生産、販売》
・その認定の日から10年以内に生産され
・販売したもの
《税額控除》
・販売数量に応じた金額の税額控除ができる
所得税・法人税共通
①賃上げ促進税制
【適用開始時期】
令和6年4月1日から令和9年3月31日
【改正のポイント】
・企業規模区分がより詳細になった
改正前:大企業、中小企業
改正後:大企業、中堅企業、中小企業
・最大控除率
大企業:35%
中堅企業:35%
中小企業:45%
・上乗せ要件の追加
教育訓練費:『雇用者給与等支給額の0.05%以上』という要件が追加
女性活躍、子育て支援:くるみん認定、えるぼし認定を受けていると控除率が5%上乗せ
・中小企業は、控除できなかった金額を5年間繰越することができるようになった
【注意点】
・中小企業は、赤字でも税額控除額を計算しなければならない。
※繰越控除について
繰越控除をする事業年度において、給与等支給額が前年度より増加している場合に限り適用可能。
②倒産防止共済の解約年以後の経費算入制限
【適用開始時期】
令和6年10月1日以降の解約分から適用
【改正のポイント】
・特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例における中小企業倒産防止共済事業に係る措置について、
・中小企業倒産防止共済法の共済契約の解除があった後同法の共済契約を締結した場合には、
・その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する当該共済契約に係る掛金については、
・本特例の適用ができないこととする。
【注意点】
決算対策として倒産防止共済の年払いなどを行うことが多いが、解約をして返戻金を受け取った事業年度中に、再度倒産防止共済に加入をすることにより、その共済金を経費化することで税負担を抑えていた。
改正により、解約した年度内で再度倒産防止共済へ加入をしても、解約から2年間は経費化が認められないこととなったため、解約のタイミングを注意して検討する必要がある。
消費税
①インボイス制度の記帳の簡素化(自販機など)
【適用開始時期】
令和5年10月1日から遡って
【改正のポイント】
一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められる、自動販売機及び自動サービス機による課税仕入れ並びに使用の際に証票が回収される課税仕入れ(3万円未満のものに限る。)については、帳簿への住所等の記載を不要とする。
【実務運用】
自販機・自動サービス機(コインロッカーなど)からの購入について、帳簿上には自販機の住所記載が不要となる
※これまで通り、帳簿には購入年月日・税率・支払金額の記載・《自動販売機特例》といった記載が必要
②高額特定資産の改正
【適用開始時期】
令和6年4月1日から
【改正のポイント】
高額特定資産を取得した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を制限する措置の対象に、その課税期間において取得した金又は白金の地金等の額の合計額が200万円以上である場合を加える。
~連絡~
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